建設業の利益率は18~25%目安
デジタル化が利益増加につながる?
建設業の利益を算出する計算式と利益確保のポイント
建設業の利益を算出する計算式
ここでおさらいの意味で、利益を算出する計算式を確認します。完成工事高と受注額(見積額)は基本的には同じであるはずなので、現場レベルで利益を管理するときは、受注した見積額から工事原価を差し引いた「粗利益」で考えて問題ないでしょう。
粗利益(売上総利益)= 完成工事高-工事原価 |
利益率 = 粗利益 ÷売上高 × 100 |
一般に見積金額は工事原価や経費の合計に利益を上乗せする形で算出しますが、工事ごとの利益をどの程度に設定するかは会社の方針、すなわち経営判断になります。入札や価格交渉される物件では、利益を確保しつつ、受注できるラインを読まなければなりません。また、社内の見積作成基準にばらつきがあると、受注時の利益率が一定にならないため、受注後の利益管理はより難しくなります。
利益確保するにはどうすればいい?
まず、利益確保の大前提は「赤字受注をしない」こと。さらに建設業では、仕入れや現場の状況で工事原価が変動します。工事原価が増えれば、その分だけ利益が減少します。逆に言えば、工夫次第で受注後にも利益を増やせる可能性はあります。
利益確保の対策は「工事原価管理」につきます。品質に関わるコストは絶対に削減できませんが、同じ材料でも仕入れ方法を工夫したり、人件費のムラをなくしたりなど、コスト削減の方法は考えられるでしょう。そうした対策と同時に重要なのが、工事の進行につれて変化する原価や利益を正確に把握することです。完工後に予定よりも原価が増えていることがわかっても、ほとんどの場合はどうすることもできません。つまり、着手前と進行中に工事原価を管理するしかありません。
しかし、他業種と比較しても建設業の原価管理は複雑であり、手計算やExcelでリアルタイムに把握するのはかなり難しいです。原価管理をデジタル化すると、どれだけ利益が残るかをリアルタイムに把握できるようになり、手遅れになる前に対策を考えられるようになります。
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<ここまでのポイント>
・見積作成基準にばらつきがあると、利益率が一定にならない。
・利益確保のポイントは「赤字受注をしない」と「受注後に工事原価を管理する」。
・原価管理をデジタル化すると、リアルタイムに状況を把握できる。