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インボイス制度、本当の課題とは?②
インボイス制度をわかりやすく、対応すべきポイントを再確認

インボイス制度施行の事前準備

 第1回と前項までで、インボイス制度のしくみを概ね理解されたのではないかと思います。ここではインボイス制度施行の2023年10月までに済ませておくべき事前準備について、確認しておきましょう。

①インボイス発行事業者登録の要否を判断する

 すでに課税事業者である場合は、インボイス登録するかどうかに迷う余地は少ないでしょう。免税事業者は、インボイスを発行するために課税事業者になるか否かを選択する必要があります。

 免税事業者がインボイス発行事業者になれば、課税対象売上が1000万円以下でも消費税の納税義務が生じ、税負担とそれに伴う事務処理が増えます。それらを上回るメリットがある、もしくはデメリットを解消できるかを判断する必要があります。会社経営を左右する問題ですので、前年度売上などを元に消費税納税額を試算してみるとよいでしょう。

<インボイス登録を検討でチェックすべき点>
 □ 取引先がインボイスでの請求を求めているか
 □ インボイスを発行できない場合、受注が減る可能性はあるか
 □ 代替の取引先を見つけられるか
 □ 納税する消費税はどれくらいの金額になるか
 □ 仕入税額控除の対象となる仕入れはどのくらいあるか
 □ 売上確保と消費税納税のどちらがより負担が大きいか

②インボイス発行事業者の登録申請をする

 免税事業者がインボイス発行事業者になるには、「消費税課税事業者選択届出書」を提出して、課税時御者になる必要があります。但し、インボイス制度導入の経過措置(2029年9月まで)として、消費税課税事業者選択届出書の提出は不要になっています。手続き上は課税事業者と同じく、インボイス発行事業者の登録申請書を提出するだけで、自動的に課税事業者になれます。

 適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)に必要事項を記入し、提出先に送付します。申請書提出がe-Taxでの提出が推奨されていますが、郵送で提出する場合は、各地域のインボイス登録センター宛てに送付します。登録が完了すると、申請時に指定した方法で登録通知が送信され、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で公表されます。

参考:[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁 (nta.go.jp)

③【受注側】インボイス制度で変わる請求業務

 インボイスを発行する受注側では、取引先との交渉や業務フローの見直しなど、時間を要する準備があります。インボイス登録を並行して準備を進めておくとよいですね。

 □ 全取引について、インボイスが求められるかどうかを確認する
 □ インボイスの要件(登録番号、適用税率、消費税額等の記載)を満たす書式を用意する
 □ 取引先に登録完了を報告し、インボイスの交付方法などを共有する
 □ 必要に応じて価格見直しなどを検討する(売上先との交渉を含む)
 □ 発行したインボイスの保存方法、売上税額の計算方法を決める

④【発注側】インボイスを受領したときの対応、仕入税額控除

発注する側でインボイスを受けとって仕入税額控除を行う場合は、仕入れ先ごとに免税・課税の仕訳や経過措置への対応などが必要になります。

 □ 簡易課税制度、2割特例(2026年9月30日まで)の適用を検討する
 → 適用する場合はインボイスの保存は不要
 □ 仕入れや経費にインボイスが必要になるかどうかを確認する
 □ 仕入先と請求方法について相談する(価格見直しを含む)
 □ 受領したインボイスの保管方法とルールを決める
 □ 記帳の流れや仕入税額の計算方法を決める

出典:インボイス制度への事前準備の基本項目チェックシート(国税庁)

<ここまでのポイント>
・免税事業者はインボイス登録が必要かどうかを慎重に検討し、判断する。
・受注側、発注側の立場でそれぞれ準備が必要になる。

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