インボイス制度、本当の課題とは?③
インボイス対応からスモールDX、業務効率化と生産性向上
インボイス対応で変わる事務処理のポイント
インボイス対応で変わる事務処理のポイントを解説します。主に経理担当者の仕事ですが、経理処理が変わるために、営業や工事担当の仕事に影響が出る場合があります。
(1)インボイスを発行する際の注意点
インボイスの書式は以下の要件を満たしている必要があります。①、②、⑤、⑥は請求書式を正しく作成できれば問題ありません。建設業では軽減税率の対象品目を取り扱うケースは少ないですが、③軽減税率の対象品目と④税率ごとの区分は都度変わるため、注意が必要です。
インボイスの記載要件 |
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①インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号 ②取引年月日 ③取引内容(軽減税率の対象品目である旨) ④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)と適用税率 ⑤消費税額等 ※端数処理は一請求書あたり、税率ごとに1回ずつ ⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 |
(2)受け取ったインボイスの取り扱い
インボイスと非インボイスの請求を分けて管理する必要があります。ここでは受け取ったインボイスの取り扱いの流れを説明します。記載不備があるとインボイスとして機能しないため、受け取ったインボイスが要件を満たしているかを確認しなければなりません。また、発行した業者がインボイス発行事業者として登録されているかの確認も必要です。そのうえで税率ごとに分けて管理します。
受け取ったインボイスの取り扱いの流れ |
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①取引開始時にインボイス発行事業者登録を確認する ②受け取った請求書がインボイスの要件を満たしているか(前項参照) ③インボイスに記載不備があれば必ず再発行を依頼する ④税率ごとに分けて管理する |
(3)インボイスをどう保管するか
保存期間は従来の請求書と同じ7年間ですが、電子インボイスは電子帳簿保存法に基づいた管理が必要となります。
電子帳簿の保管には、ファイル名に得意先(取引先)・金額・日付を手入力で記載する、Excel 等でファイル名と得意先・金額・日付を紐づけて記録するなどの方法がありますが、かなりの時間と手間がかかります。電子帳簿保存に対応するソフトウエアを利用するのがお奨めです。
(4)免税事業者の扱い
免税事業者はインボイスを発行できませんが、2029年までの経過措置期は部分的に仕訳税額控除を行えます。インボイス発行事業者と控除率が違うため、両者が混在するとかなり煩雑になります。また、インボイスでない請求書に消費税相当額を記載することは、違法ではありません。但し、仕入れ税額控除の対象にはならないため、取引先と話し合っておく必要があります。
<ここまでのポイント>
・インボイスは発行と受取りでそれぞれに新たな処理が発生する。
・電子インボイスの保管には電帳法に基づく管理が必要。