1. HOME
  2. ブログ
  3. 原価管理
  4. 建設業の物価高倒産が急増!建設物価を活用して赤字受注を回避する方法

BLOG

ブログ

原価管理

建設業の物価高倒産が急増!建設物価を活用して赤字受注を回避する方法

物価高倒産する企業の構造的な課題

現在の物価高は原油高による輸送コストや原材料の高騰が根底にあり、すべての設備業に影響する資材価格の高騰を招いています。しかし、受けているダメージには会社ごとに差があります。同じ中小規模の建設業でも、苦しみながらも物価高に対応している会社と倒産してしまう会社の違いはどこにあるのでしょうか。

(1)受注時の利益管理

 見積作成時の利益管理できていないと、赤字の見積で受注してしまいます。よくある「見積が甘い」というケースですが、直接の原因は見積作成時の積算や集計ミスが主ですが、根本的には設備業の積算見積が複雑で、見積作成に時間と手間がかかることが見積の利益管理を難しくしています。実際、手作業による材料拾いや表計算ソフトによる集計作業には、膨大な時間や手間がかかります。急ぎで見積提出を求められた時には、どんぶり勘定で見積を作成してしまうこともあるようです。

関連記事:【設備業の経営者様必見】赤字の解消には拾い出しと見積の改善が効果的!

(2)受注後の原価管理

資材が値上がりしても、仕入れ価格を反映した見積で受注できれば、赤字になるリスクは少ないはずです。しかし、毎月のように仕入れ価格が変動する昨今では、受注後にもしっかり原価管理していかないと、見積で確保したはずの利益の目減りや、最悪の場合は赤字が出る可能性もあります。資材価格の高騰に対応するスライド制度も導入されていますが、適用には価格変動の根拠を示さなければなりません。

関連記事:【建設業の原価管理】工事原価を簡単に管理する方法

(3)発注者との価格交渉

 発注者からの価格交渉を受けて、赤字になるケースもあります。見積にどれだけの利益が含まれているのかを把握できていないと、どこまで値引きしてよいかがわかりません。感覚で値引きに応じた結果、赤字になってしまう可能性があります。何時間もかけて作成した見積が、数分間の価格交渉で台無しになってしまいます。価格交渉がおこりうる場合は、見積の利益管理と同時に値引きできるラインをシミュレーションしておかなければなりません。

関連記事:実行予算とは、組み方と活用方法、工事管理で注意すべきポイント

(4)取引先の選択肢が少ない

 値引きのシミュレーションができていたとしても、交渉スキルの低さや受注する立場の弱さで、発注者の言いなりに値引きしてしまう場合もあるようです。国や業界レベルで過度な値引き交渉を規制するためにさまざまな施策を設けていますが、会社ごとの関係性に踏み入ることは難しいでしょう。こうした状況は、取引先が少ない会社ほど起こりやすいです。少ない取引先との関係を維持するために、無理な値引きを受けざるを得なくなる傾向があります。

(5)中長期の展望がない

 物価高のように、避けられない社会や経済のリスクはたびたび起こります。売上や利益の減少リスクに対応できる体制がないと、その都度、深刻なダメージを受けることになります。経営基盤の強化は、一朝一夕でできるものではありません。中長期の展望を持って、売上の柱となる事業と利益を生み出せる社内体制を育てていく必要があります。

<ここまでのポイント>
・ダメージが大きい理由は受注前の利益管理、受注後の原価管理ができていない
・取引先の少なさ、利益管理の甘さによる価格交渉の失敗が赤字の原因に
・中長期の展望がなく、リスクに対応できない

関連記事