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  4. 中小設備業が直面する利益改善のための4つの課題と解決策

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 資材価格や燃料などの物価高騰や人手不足が深刻化する中、設備業の皆様にとっても利益率の低下は大きな課題となっているのではないでしょうか。実際、従来の見積基準や仕事のやり方では収益確保が困難になりつつあると言えます。赤字経営からの脱却をめざす経営者に向けて、設備業の利益率を劇的に改善するための4つの課題と具体的な対策を解説します。

目次
-赤字経営を脱却するために
-課題①見積作成の段階で利益を確保できていない
 見積作成階で利益を確保できない理由
 解決策:見積作成の標準化と利益の可視化
-課題②資材調達などのコスト増加
 資材調達コストの増加が止まらない
 解決策:適切な原価管理や資材調達の工夫
-課題③人手不足や過重労働が生産性低下を招く
-課題④価格競争の激化
-売上を伸ばすだけでは経営はよくならない

赤字経営を脱却するために

 資材価格や燃料などの物価高、人件費上昇に加えて、世界的な経済環境の不透明感が続き、設備業においても、多くの会社が利益率の低下に悩まされています。会社を維持するために必要な収益を確保するためには、従来と同じやり方では立ち行かなくなっているのが現状です。特に、赤字に苦しむ経営者にとって、利益率の改善は喫緊の課題と言ってよいでしょう。

 設備業の利益率を劇的に改善するための4つの課題と具体的な解決策を提案します。経営基盤の強化に関心がある経営者の皆様にとって、有益なヒントになれば幸いです。

課題①見積作成の段階で利益を確保できていない

 最初の課題は、見積作成の段階で充分な利益を見込めていないことです。見積金額の中に利益がいくら含まれているかを明確に把握できていなくて、最初から受注すると赤字になる見積を提出してしまう可能性があります。主に3つの原因が考えられます。

見積作成段階で利益を確保できない理由

理由①:担当者ごとに見積作成の基準がまちまち
複数の見積担当者がいる場合、担当者によって見積作成の基準や考え方が異なる場合があります。個人の判断で利益確保の基準がまちまちになり、会社全体の利益率に悪影響を及ぼします。

理由②:見積の段階でどれだけ利益を確保できているのかわかりづらい
設備業の積算見積は複雑なため、見積時に正確なコスト計算ができておらず、実際にどれだけの利益を確保できるのかが見えにくい状況にあります。結果として、見積担当者が想定するよりも利益率が低くなってしまうリスクがあります。

理由③:価格交渉を受けると言いなりに値引いてしまう
顧客からの値引き要求に対して、受注を優先するあまり安易に応じてしまうことも、利益率低下の大きな要因です。適切な価格交渉のガイドラインがないと、必要以上の値引きにつながってしまいます。

解決策:見積作成の標準化と利益の可視化

 これらの問題を解決するために効果的なのが、見積作成の一元化・標準化できる積算見積システムの導入です。見積段階での利益確保は、利益率改善の第一歩です。システムによって見積プロセスを最適化することで、利益率の向上に大きく貢献します。

<積算見積システム導入のメリット>
•同じ基準で見積を作成できるようになり、担当者ごとの差分が解消される(見積の標準化)
•材料費、人件費、諸経費などのコストを可視化できる
•データの蓄積による見積精度の向上
•過去見積のテンプレ活用で、見積作成業務のスピードアップ、効率化、収益確保へ

工事積算見積システム「本丸EXv2」

<ここまでのポイント>
・見積段階での利益確保は、利益率改善の第一歩。
・見積作成を一元化、標準化できる積算見積システムの導入がお奨め。

課題②資材調達などのコスト増加

 2つ目の課題は、設備業の利益率を圧迫する資材価格の高騰への対応です。原材料価格や燃料費の高騰により、この問題はますます深刻化しています。

理由:資材調達コストの増加が止まらない

 銅線や鋼材をはじめとする建設資材の価格上昇が、設備業者の利益をダイレクトに圧迫しています。中小規模の事業者は、仕入れ量が大きい大手と比べると仕入れ先に対する交渉が難しく、発注者に対しては、コスト増加分を価格に転嫁しにくいという実状もあります。

解決策:適切な原価管理や資材調達の工夫

適切な在庫管理で、資材のムダ・ムラを解消
非効率な在庫管理によって、資材調達のムダやムラが発生しがちです。工期遅延を恐れるあまり、過剰な在庫が資金を圧迫したり、急遽納品させるために余分に経費がかかったりするケースがあります。適切な在庫管理を行うことで、在庫を抱えすぎず、より良い条件で購入できるタイミングで調達しやすくなります。

EDI活用(調達プロセスのデジタル化)で資材コストを削減
EDI(電子データ交換)活用によって資材調達プロセスをデジタル化することで、発注ミスの削減や仕入れ先との連携強化により、コスト削減と業務効率化を同時に実現できます。

工事原価をリアルタイムで管理できる工事原価管理システム
資材価格などの原価高騰対応するためには、物件ごとに工事原価を管理するのが効果的です。「二の丸EXv2」では「本丸EXv2」で作成した見積データから実行予算を作成し、進行中の工事の利益を具体的に把握できます。原価管理の徹底により、発注者への「おそれ情報」の提供や価格交渉時の指標など、コスト増加への対策がとりやすくなります。

<原価管理システム導入のメリット>
•リアルタイムでの原価管理が可能になり、工事ごとの利益を把握できる
•工事ごとの使用資材から資材の在庫数を把握、最適なタイミングでの発注へ

工事原価管理システム「二の丸EXv2」

<ここまでのポイント>
・中小の設備業者は仕入れ先との交渉が難しく、コスト増加分を価格に転嫁しにくい。
・工事ごとの原価を管理することで、資材価格の変動に対処しやすくなる。

課題③人手不足や過重労働が生産性低下を招く

人手不足と従業員の過重労働による生産性の低下も深刻な課題です。

人手不足や過重労働が生産性低下を招いている

 建設業全体で、人手不足は慢性的な問題ですが、熟練技術者の高齢化や担い手不足は深刻な問題です。人手不足によって一人あたりの業務負担が増加し、過重労働によるミスの増加や品質低下、さらには従業員の健康問題につながるリスクもあります。また、働き方改革の残業時間の上限規制によって、就労時間が抑制された結果、工期の長期化や工事代金の上昇が指摘されていますが、労働者への賃金にはなかなか反映されないという指摘もあります。

解決策:適切な労務管理による過重労働の回避と合理化

 過重労働の回避は、長期的な生産性向上のためも不可欠です。紙ベースの管理や属人的なスケジュール調整では、効率的な人員配置は難しいでしょう。設備業特有の勤務状況に適した勤怠管理システムの導入が効果的です。人員配置の効率化や進捗状況の把握などにより、限られた人員でも高い生産性を維持することが可能になります。現場作業の効率化にもつながります。

<設備業に特化した勤怠管理システム導入のメリット>
 •リアルタイムでの作業進捗管理と人員配置の最適化
 •ペーパーレス化による事務作業の削減と管理コストの低減
 •労働時間の適正管理による過重労働の防止
 •データに基づく業務改善と生産性向上の実現

予定登録・作業日報・勤怠管理システム「Writeレス」

<ここまでのポイント>
・人手不足による過重労働は従業員の健康問題、生産性低下のリスク。
・設備業に特化した勤怠管理システムで人員配置の効率化や進捗状況を把握できる。

課題④価格競争の激化

 資材価格の高騰などが価格競争の激化につながります。受注優先で、利益度外視の見積や値下げ交渉に応じてしまうことで、利益を圧迫する原因になります。

価格競争の激化により利益率が圧迫されている

 コロナ禍以降、新規参入業者の増加や大手企業の市場シェア拡大により、設備業界の価格競争は厳しさを増しています。中小規模の事業者が価格だけの競争に巻き込まれると、利益率低下は避けられません。価格競争の悪循環から脱却する必要があります。

解決策:販路拡大と付加価値の提供で収益性向上をめざす

 価格競争から脱却するためには、新たな販路の開拓と付加価値向上などの差別化が有効です。

公共工事の入札は営業活動なしで受注できる
公共工事の入札参加は、営業活動を必要とせずに受注できる可能性があり、安定した収益源となります。公共工事の実績により、取引先や金融機関などの信頼性向上も期待でき、受注機会の拡大にもつながります。

付加価値の提供で顧客満足を向上
サービスの質や独自の技術力、迅速な対応など、付加価値の提供で受注金額を上積みしたり、顧客満足度を高めて関係性を強化したりことが効果的です。自社の「価値」を高めることで、価格競争から脱却できます。

 高付加価値サービスやアフターケアを提供し、価格以外の競争力を高める
設備業で言えば、定期点検や予防保全、省エネ提案など、アフターケアの充実も差別化の重要な要素です。工事を実施するだけではなく、顧客の課題解決パートナーとしての立場を確立することで、継続的な関係構築ができて、安定した収益につながります。

公共工事経費計算ツールの活用
公共工事の入札に興味はあるが、実績やノウハウがないという方でも、物件の選択と公共工事経費計算ツールの活用で、入札に挑戦するチャンスは作れます。

<公共工事経費計算ツール導入のメリット>
 •公共工事入札における適正な積算と利益確保
 •煩雑な経費計算の簡素化による業務効率の向上
 •データに基づく戦略的な入札参加判断

公共工事経費計算ツール「Smart-P」

<ここまでのポイント>
・価格競争からの脱却には、販路開拓と付加価値向上などの差別化が有効。
・公共工事は物件選択とツール活用で未経験からでも参入できる。

売上を伸ばすだけでは経営はよくならない

 中小規模の設備業で、利益率を劇的に改善するための4つの課題と解決策を紹介しました。
物価高や人手不足といった課題に直面しながら、収益を確保するためには、単に売上を伸ばすだけでは経営改善は困難であり、利益率を向上させる取り組みが必須です。しかし、「売上第一主義」から脱却できず、利益を度外視した受注獲得に走る会社も存在します。

 DXや原価管理システムの導入により、見積作成、資材調達、人員配置、受注戦略など、あらゆる面での最適化を通じて利益率の改善を実現できます。

 設備業の経営者の皆様には、これらのシステムを単なるコスト削減ツールとしてではなく、経営戦略を実現するための投資として捉えていただきたいと思います。厳しい経営環境だからこそ、デジタル化による業務効率化と利益率の改善に取り組むことが、生き残りの鍵となるでしょう。これらのIT投資にはIT導入補助金などの公的支援を活用できます。ぜひ、自社の課題を見つめ直し、利益率改善に向けた第一歩を踏み出してください。

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