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若手採用を成功させたいなら知っておくべき、若者の仕事観とNGワード

働き方改革による就業時間の規制、少子高齢化による若年層の減少により、すべての業界で人手不足が深刻です。事業の存続のためにも若手人材の確保は不可欠であり、若手社員の採用と定着が重要な課題となっています。

若手採用の成功のために経営者が押さえておくべき若者世代の価値観や仕事観、内定辞退や早期離職のトリガーとなるNGワードなどを紹介します。

目次
-若手が採用できない、定着しない理由を若年層の就労実態から考える
(1)大きく変わっている若年層の就労実態
(2)若者が就職に積極的になれない理由
-若手採用の成功には「若者の仕事観」の理解がマスト!
(1)統計からみる若者の仕事観
(2)若者世代が会社や上司に求めること
-若者のNGワードを把握して内定辞退や早期離職の防止へ
(1)最大のNGワード「ブラック企業」の定義
(2)若者に敬遠されるNGワード
(3)内定辞退の上位NGワード
-採用成功と定着のポイントは世代を超えた相互理解と共感

若手が採用できない、定着しない理由を若年層の就労実態から考える

設備業の経営者からは、「若手採用が難しい」「採用より定着が難しい」などの声が聞かれます。しかし、これらは建設業・設備業だけでなく、日本の企業全体の悩みなのです。

(1)大きく変わっている若者の就労実態

若年層の就労実態などを調査した「若年雇用実態調査(厚生労働省・令和3年発表)」によると、15歳~34歳の非正規雇用者数は過去最多の174万人になっています。15~34歳では42.6%、全世代の倍の割合になっています。特に高いのが20代前半で、6割を超えています。また、離職率(18.8%)、完全失業率(20代4.7%、30代4.1%)も他の年代より高いことがわかります。

若者世代の就労実態が大きく変化していることがわかります。景気減退による正規雇用の縮小の影響で、若者世代の仕事観や価値観が変化したことも原因のひとつと考えられます。

(2)若者が就職に積極的になれない理由

近年、若者世代の間では、ワークライフバランスやキャリア形成など労働環境への意識が高まっています。副業やフリーランスなど収入を確保する方法の選択肢が増え、働き方が多様化しているということもありますが、実際には安定した雇用に就けないために、不安定な働き方を選ばざるを得ない若者も少なくないようです。

企業は人手不足で悩んでいるのに、若者の就労状況は回復しません。実際、求職活動に積極的でない若者も多いです。雇用する企業と若者の両方に原因があり、下表のような理由が考えられます。
特に深刻なのは、若者世代の一部が正社員として働くことにメリットや期待感を感じられなくなっていることではないでしょうか。企業に対して不信感や警戒心を持ち、正社員として働く意義ややりがいを見出せなくなっているようです。これは新卒社員の早期離職とも因果関係があると考えられます。

企業の理由 若者の理由
・不景気の影響で非正規雇用を拡大
・フリーター、ニートが長い人を避ける傾向
・過労死やハラスメントなど、企業に対する不信感が増している
・業務内容や就業環境の相違に敏感
・正規雇用への期待感が薄れている

こうした傾向を「最近の若者は・・・」と捉える向きもありますが、若手採用を成功させたいのであれば、一方的に若者世代に原因を求めるのは避けるべきです。企業経営を担う現役世代と若者世代の「価値観や仕事観の違い」と考えることで、はじめて解決策を模索できるでしょう。

出典:平成30年若年者雇用実態調査の概況(厚生労働省)

<ここまでのポイント>
・若年層は他の世代よりも離職率(18.8%)、完全失業率(20代4.7%、30代4.1%)が高い。
・価値観や仕事観のギャップがミスマッチの原因になっている。

若手採用の成功には「若者の仕事観」の理解がマスト!

若手採用を成功させるためには、若者世代が仕事や会社に対して何を望み、何を嫌がるかを理解することが大切です。社会全体が多様な価値観や個性を受け入れる中で、企業と人材の関係性も例外ではなく、現役世代と未来を担う若者世代の「仕事観」のすりあわせは不可欠です。ここでは若者世代の仕事観を理解する指標として、総務省の「平成30年就業構造基本調査」の20代の被雇用者の回答にフォーカスしてみます。

出典:平成30年若年者雇用実態調査の概況(厚生労働省)

<仕事を選ぶ際に重視する点>

収入の多さ 68.3%
労働時間が短い 44.6%
安定して長く勤められる 40.1%
自分の興味や適性に合った仕事がしたい 66.5%
時間に余裕を持って生活したい 44.2%
安定して長く勤められる 40.1%

高収入かつ働きやすい環境を求めると同時に、自分の価値観にあった仕事やプライベートとのバランスを重視していることがわかります。その一方で、「仕事が自分の人生の中心になるべきだ」への同意は低く(15.5%)、「仕事」の優先順位は低いと言えます。家庭生活や趣味、社会活動、副業など、仕事以外に大切したいことを持っている、もしくは持ちたいと考えている人が多いと考えられます。

やりがいや自己実現を求める一方で労働に見合う待遇やワークライフバランスを優先する、つまり、高い給与だけで定着する保証はなく、低水準の待遇では応募すらこない可能性があります。若手人材を確保するためには、こうした「若者の仕事観」をふまえた取り組みが不可欠と言えるでしょう。

<ここまでのポイント>
・若者世代が仕事や雇用者に対して何を望み、何を嫌がるかを理解することが大切
・20代はやりがいや自己実現は求めるが、待遇やワークライフバランスを優先する傾向

若者のNGワードを把握して内定辞退や早期離職の防止へ

SNSネイティブの若者世代は、特定のNGワードや事象に出会うと拒絶モードに入ってしまう傾向があります。無意識に使っている言葉が内定辞退や早期離職につながるリスクがあります。採用活動や面接の場だけでなく、日々の仕事の中でも注意しましょう。

(1)最大のNGワード「ブラック企業」の定義

ブラック企業に関する法的な定義はありませんが、一般的に労働者を酷使し、過酷な条件働かせる企業をさします。法令に抵触するケースは完全にアウトですが、法的にはギリギリセーフでも倫理に反するケース(いわゆるグレーゾーン)も「ブラック認定」される場合があります。

<ブラック企業に該当する状況>
・極端な長時間労働や過度のノルマを課す
・業務内容や業務量と賃金が見合っていない(やりがい搾取)
・サービス残業やパワーハラスメントが横行する
・会社全体のコンプライアンス意識が低い
・労働者に対して過度また不公正な選別を行う

若者世代のブラック企業に対する意識は多様で、広義には、指導や教育が充分でないだけでも「人材を使い捨てにする」ブラック企業と解釈される場合があります。背景には、若者世代が抱える将来への不安があり、市場価値のある人材に成長できる環境であるか、会社や上司がサポートしてくれるかが重要なファクターになります。

(2)若者に敬遠されるNGワード

若者世代に敬遠されるNGワードの例を挙げてみましょう。

<求人編>
・「成長したい人」「やりがいを求めている人」などのマインド偏向

やりがいはあるが忙しい環境を想起したり、「やりがい搾取」を懸念されたりします。

・「あなたの頑張りを評価」
過度なノルマを課される、評価されなければ低賃金で働かされるなどのリスクを想起します。

・「実力主義」「即戦力募集」
競争が激しい、離職者が多く人手不足などのイメージにつながります。

・「アットホームな会社」「家族的な雰囲気です」
業務外の人間関係を強要されることを懸念されます。

・精神論を示すフレーズを多用「夢、感動、感謝、情熱、自己実現、人財」など
社長からのメッセージなどで多用すると、ワンマン経営者のイメージになります。

<仕事編>
・「普通はこうする(しない)よ」

一般化した指摘ではなく、明確な理由を提示する必要があります。

・「そう思うでしょ」
腹落ちや納得を強制されていると感じる場合があります。

・「若いんだから」
若者を一括りにするのはNGです。個々の能力や価値観を尊重することが大切です。

(3)面接中に感じる「この会社には入社したくない」

「転職活動中の面接に関する調査」(「エン 人事のミカタ」アンケート)で、転職経験者の56%が「面接中にこの会社には入社したくないと思ったことがある」と回答しています。応募者は面接者の態度や人柄を見て、その会社を評価しています。一方的に応募者を選別する場と捉えている経営者や人事担当者は、すぐにその考えを改める必要があります。

面接官の態度が不快だったため 49%
求人情報と面接の話に齟齬があったため 33%
想像していた仕事とずれがあったため 30%

<ここまでのポイント>
・応募者は面接者の態度や人柄を見てその会社を評価している。
・価値観が多様化していることを理解し、「若者」を一括りに考えない。

採用成功と定着のポイントは世代を超えた相互理解と共感

若手採用の成功と定着のポイントは、会社との接点となる経営者、上司、先輩と若者世代の間で、相互理解と共感の形成にあると言えます。

高い給与や充実した福利厚生だけでは、若者世代の共感は得られません。彼らの価値観や生活スタイル、仕事観を理解し、共感をもった採用活動や人材育成に取り組む必要があります。たとえば、ワークライフバランスへの配慮や人材としての成長機会がある労働環境に加えて、企業理念や社会的役割の明確化など、企業としての魅力づくりも求められます。そのうえで、若者世代の志向や考え方を受け入れつつ、コミュニケーションを重ねることが必要です。

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