1. HOME
  2. ブログ
  3. 人材確保
  4. なぜ若手社員はすぐ辞めるのか?現場視点で見る早期離職の解決策

BLOG

ブログ

 苦労して採用した若手社員がすぐに辞めてしまう。今や業種や会社の規模を問わず、共通の悩みとなっています。新卒社員の3割が3年以内に離職する昨今、人材確保が難しい設備業界では特に深刻な課題と言ってよいでしょう。若手社員の離職理由とその原因を探り、具体的な解決策を提案します。すぐに取り組める実践的なヒントをお届けします。

目次
-若手社員の早期離職が増える背景とは?
・若手社員が早期離職を選ぶ主な理由とは
・価値観の違いが摩擦を生む
-上司との関係を改善し早期離職を防ぐ具体策
・上司や先輩社員への教育はマスト
・世代間の橋渡し役を設定
-成功事例に学ぶ早期離職防止のヒント
・世代間のギャップを埋めた企業の成功事例
・DX活用で世代間の橋渡しを強化
-若手社員の早期離職防止と定着率向上に向けて

 原因としては、企業側が適切な情報開示を行っていない場合と、若手社員側の理解力不足が考えられます。前者は完全に企業側の落ち度で、誠実に対応する以外の解決策はありません。また、後者については、原因が若手社員側にあるとしても、社会経験が乏しいもしくは全くない若手に企業の常識や職業理解を期待することは理不尽な要求と言えます。若手の理解力にあわせたコミュニケーションをとることも企業側の責任と考えるべきでしょう。

 次に「職場環境や雰囲気になじめない」という理由も多いようです。若者世代には新たな人間関係を構築することに苦手意識を持つ人も多く、対人評価では「話しやすい」が重要な要素になっています。上司や先輩社員に受け入れられていると感じられないと、ストレスを感じやすくなります。

 「キャリアへの不安」も大きな要因です。この環境では自分が成長できないと判断すると、できるだけ早く辞めたほうがよいと考える傾向があります。仕事内容が想像していたものと違う、将来像が明確に示されないといったことに不安を覚え、早期離職につながります。

価値観の違いが摩擦を生む

 早期離職の原因には仕事そのものよりも、人間関係やコミュニケーションの不全が存在し、その根底にはあるのは、世代間の価値観の違いからくる摩擦と考えられます。

 多くの場合、若手社員との間で仕事への取り組み方や責任感といった共通認識にギャップがあります。若者世代にとって仕事とプライベートは同等の価値であり、効率よく成果を得ることに価値があります。そして、納得できる理由もなく、仕事を優先するよう強要されれば反発します。だからと言って、仕事に対する責任感がないとかやる気がないと判断するのは早計です。

 若手社員は会社全体が「古い価値観に縛られている」と感じ、上司や先輩社員は「最近の若者は」などと考える相互理解の欠如が早期離職につながるケースは多いようです。「自分が若い頃は」という考えにとらわれてしまうと、若手社員の価値観を否定してしまいがちです。若手が効率よく楽に成長できるなら、会社にとってはプラスです。育てる側である上の世代から歩み寄り、「自分がした苦労は若手にはさせない」くらいの気持ちで向き合ってみてはいかがでしょうか。

<ここまでのポイント>
・仕事のそのものよりも、人間関係やコミュニケーションの不全が原因になっている。
・若手社員の理解力にあわせたコミュニケーションが必要。
・育てる側である上の世代から歩み寄ることが重要。

上司との関係改善と早期離職を防ぐ具体策

 早期離職を防止するには、上司と若手社員の関係構築が重要なカギと言えます。職場の人間関係、特に直属の上司との関係が良好であれば、不満を解決する希望が持てるため、一足飛びに退職を申し出ることは少なくなります。逆にどんなに待遇が良くても、人間関係が原因で辞めてしまうケースが多いのが現実です。

上司や先輩社員への教育はマスト

 若手社員と関係構築では、お互いの価値観の違いを理解し、双方が歩み寄るべきですが、組織上の上位者である上司や先輩社員から歩み寄ることが求められます。そのためには、上司や先輩社員の意識改革や教育が不可欠です。

 上司や先輩社員との人間関係が離職の原因となるケースが多いことを認識し、変化を受け入れる姿勢を持つことが早期離職防止の第一歩となります。指導方法ではなく、「関わり方」を学ぶことで、若手社員との信頼関係を構築しやすくなります。こうした教育は継続的に教育を行うことが重要です。

世代間の橋渡し役を設定

 若手社員と経営層・管理職では、立場の違いによって、同じ話を聞いても受けとめ方が違ってきます。こうしたギャップを埋めるために有効なのが「橋渡し役」の存在です。会社との架け橋となる「メンター」などを取り入れて、早期離職防止に効果をあげている会社もあります。定期的な面談やフォローアップの機会を設け、若手社員が安心して相談できる環境を整えることで、問題が大きくなる前に解決できます。橋渡し役に期待される役割は以下の通りです。

・若手社員の悩みや不満を聞き、適切にアドバイスする
・若手社員の声を「代弁者」として経営層に伝える
・上司の意図や会社の方針を若手社員にわかりやすく説明する
・若手社員が抱える困難を早期に発見し、解決に導く

 橋渡し役には、年齢や性別などの属性が近い社員が適しています。若手社員と目線を合わせながら、コミュニケーションをとることが目的ですから、必ずしも同じ職種でなくても問題ありません。

<ここまでのポイント>
・上司や先輩社員が指導方法ではなく、「関わり方」を学ぶ。
・若手社員と目線を合わせながら、コミュニケーションをとる「橋渡し役」は有効。

成功事例に学ぶ早期離職防止のヒント

早期離職防止の対策例

早期離職防止の取り組みの例を紹介します。

・オンボーディングの強化
オンボーディングとは人事用語で、新しく採用した人材の受け入れプロセスをさします。若手社員に対しては特に重要です。組織のメンバーとして定着させ、戦力化させるまでのステップを考え、研修や交流の機会を設定します。業務の研修に加えて、会社の文化や暗黙のルールなどを伝える機会を設けると、若手社員の不安や疑問が解消され、組織に馴染みやすくなります。

・世代間のコミュニケーションを促進する
役職や部署を超えたプロジェクトや交流機会は、各世代の価値観や強みを理解しあう機会になります。若手社員が自分の意見や提案を発信し、チームに貢献する体験をすることで帰属意識を高める効果を期待できます。どちらか一方ではなく、お互いにコミュニケーションスタイルを理解し、最適なコミュニケーションの取り方を学ぶことで誤解や摩擦を減らし、良好な人間関係を構築できます。

・柔軟な働き方の導入
若手世代は、ワークライフバランスを重視する傾向があり、フレックスタイム制やリモートワークなど、柔軟な働き方を受け入れる企業に好印象を抱く一方、利用する際に難色を示されたりすると、離職動機につながります。

DX活用で世代間の橋渡しを強化

 デジタルネイティブ世代の若手社員は、SNSやアプリを活用したコミュニケーションや学習に親和性が高い反面、わからないことがあっても自分からは聞きづらいという心理的なハードルがあるようです。報告・連絡・相談のスキームに、気軽にコミュニケーションがとれるチャットやアプリを取り入れることで、若手社員が相談しやすい環境を作ることができます。

 また、若手世代は動画による学習に慣れていますので、eラーニングなどを活用することで、自分のペースでスキルアップできるようになります。たとえば、ベテラン社員の施工動画を撮影し、自社独自の動画教材として活用することで、大きなコストをかけず、効率的に技術を習得できるようになります。

 これらの取り組みでメリットを感じるのは、若手社員だけではないはずです。会社全体の業務効率化や技術継承の促進にも寄与します。早期離職対策だけでなく、競争力向上のために取り組まれてはいかがでしょうか。

<ここまでのポイント>
・役職や部署を超えた交流で相互理解のきっかけを作る。
・若手社員がチームに貢献できる体験を積むことで、帰属意識が生まれる。
・若者世代が慣れ親しんでいるコミュニケーション手段を取り入れる。

若手社員の早期離職防止と定着率向上に向けて

 若手社員の早期離職は、社会環境や価値観の変化に組織が適応できていないことを示しているのかもしれません。若手社員を定着させるためには、経営者が先頭に立ち、会社全体の意識改革から取り組む必要があります。

 世代間のギャップを乗り越える相互理解と柔軟な対応が、早期離職防止の鍵と言えます。管理職や先輩社員が若手社員の価値観を理解し、リスペクトする姿勢を持つことが重要です。歩み寄る姿勢が伝わることで、若手社員の組織の価値観や文化に馴染む意欲を引き出せるようになるでしょう。

 若手社員の視点を取り入れた組織づくりも積極的に進めるとよいですね。若手の新鮮な視点や革新的なアイデアは、組織に活力をもたらします。「この会社で活躍したい、成長したい」と思える成長機会や挑戦できる機会の創出が早期離職防止につながります。若手社員の早期離職防止の取り組みは、人材流出を防ぐだけでなく、組織全体の活性化と持続的な成長をもたらします。管理職も先輩社員も、若手社員とともに学び、成長できる職場が理想です。

 まずは若手社員の声に耳を傾け、彼らが何を求めているのかを理解することから始めてみてはいかがでしょうか。

関連記事