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建設キャリアアップシステム原則化へ?未登録のデメリットを解説

建設キャリアアップシステムの概要と導入メリット

CCUSはさまざまな工事現場で働く建設技能労働者の情報を登録し、身分証を兼ねたICカードを利用して就労履歴を記録、管理するシステムです。キャリア形成だけでなく、社会保険情報や就労履歴に紐づく建退共の掛け金の管理システム、入場管理として活用できます。

(1)建設キャリアアップシステムの目的

建設キャリアアップシステムは、建設技能者の処遇改善を将来の人材確保につなげること、業界全体の生産性向上などを目的としています。

①技能者の施工能力やキャリアを可視化し、処遇を改善する
 技能者の保有資格や就労履歴を記録し、施工能力やキャリアを可視化します。適正な処遇で技能に見合った業務に携われることをめざします。

②キャリアパスを明確にして技能者の若手人材を確保する
 就業履歴や保有資格、受講実績などの客観的な基準で技能者の能力を評価するしくみを設け、建設技能者のキャリアパスを明確にします。スキルアップが処遇の向上につながる環境を整え、「建設技能者はやりがいや魅力のある職業」という認知を促進し、若手人材の確保へとつなげます。

③事業者の事務作業を効率化する
 労務管理や建退共の納付手続きなどがデジタル化され、事業者の業務の効率化が期待できます。

(2)建設キャリアアップシステムの利用料金

建設キャリアアップシステムの利用料金について説明します技能者は登録料のみですが、事業者は登録料に加え、利用状況に応じて管理者ID利用料、現場利用料が請求されます。技能者は本人情報のみを登録する簡略型登録と保有資格や健康診断等の情報を登録する詳細型登録の2方式があり、簡略型に登録した後に詳細型に変更することもできます。

<事業者が負担する費用>

資本金 登録料(税込) 資本金 登録料(税込)
一人親方 無料 1億円~3億円未満 120,000円
500万円未満(個人事業主含む) 6,000円 3億円~10億円未満 240,000円
500万円~1,000万円未満 12,000円 10億円~50億円未満 480,000円
1,000万円~2,000万円未満 24,000円 50億円~100億円未満 600,000円
2,000万円~5,000万円未満 48,000円 100億円~500億円未満 1,200,000円
5,000万円~1億円未満 60,000円 500億円以上 2,400,000円

※新規登録時、5年毎の更新時

管理者ID利用料(税込)
※1Dあたり
法人 11,400円
一人親方 2,400円

※事業者情報、現場情報を管理する管理者ID に対する利用料金

現場利用料(税込) 1人日・現場あたり10円

※現場を登録する元請事業者が負担する技能者就業履歴情報の登録に対する利用料金
※現場に入場する技能者の人日単位の回数
※履歴情報が登録された月末締めの翌々月10日払い
※年度末と消費税率の改定時を除き、1,500円未満の場合は最大6ヶ月間まで繰り越し

<技能者が負担する費用>

登録料(税込) 簡略型 2,500円
詳細型 4,900円
詳細型への変更 2,400円

※新規登録時、10年毎の更新時
※認定登録機関での申請は詳細型登録のみ

(3)建設キャリアアップシステム登録の流れ

建設キャリアアップシステムの登録の流れを簡単に紹介します。所属会社が事業者登録を済ませ、従業員の技能者登録を代行する方法が推奨されています。上位会社が下請けとなる会社の事業者登録や技能者登録を代行することもできます。

①登録申請
インターネットと認定登録機関の2つの申請方法があります。認定登録機関では郵送のほか窓口でも登録できますが、ほとんどの認定登録機関の窓口は予約制になっていますので事前に確認しましょう。登録申請に必要な事業者確認書類を下表にまとめます。

<事業者登録の必要書類>

事業者確認書類 下の項目のうちいずれか一点
建設業許可のある法人、
個人事業主、
一人親方
建設業許可証明書の写し
・建設業許可通知書の写し
建設業許可がない法人 ・事業税の確定申告書の写し
・納税証明書と履歴事項全部証明書の写し
建設業許可のない個人事業主、
一人親方
・個人事業の開業届の写し
・納税証明書の写し
・所得税の確定申告書の写し

出典:事業者情報登録申請書の手引き

②登録内容の確認・審査~ID発行
審査完了後にIDが付与され、メールもしくは郵送で通知が届きます。通常は3週間から1ヶ月、混雑状況によりさらに長くなる場合があります。申請内容に不備があった場合は連絡がありますが、提出書類の画像が不鮮明なために再申請となるケースが多いようなのでくれぐれも注意しましょう。

③登録料の支払い
登録料の支払い確認後に登録完了の通知が届きます。支払い方法には振込みとクレジットカード決済があり、クレジットカードの方が入金確認は早いようです。

(4)建設キャリアアップシステムを利用するメリット

建設キャリアアップシステムの利用により、建設技能者と事業者の双方でメリットが期待できます。
建設技能者は経験やスキルに見合った処遇や賃金を得やすくなり、建退共の掛け金未納などのリスクもなくなります。就労時間の裏づけとなる入退場の履歴が客観的に記録されるため、過重労働や残業未払いなどのトラブルも回避できます。

事業者はCCUSのICカードによる入場管理、建退共などの事務処理がデジタル化され、生産性向上のメリットがあります。CCUSのレベル判定を技能者育成に活用できます。

出典:建設キャリアアップシステム(一般財団法人建設業振興基金)

<ここまでのポイント>
・CCUSは技能者の本人情報、社会保険、就労履歴、保有資格などを管理するシステム
・建設技能者には処遇や賃金を守り、キャリアアップの道筋ができる
・事業者にはデジタル化による事務作業の効率化
・業界全体には人材確保のための環境づくり

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