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  4. 【2026年最新】改正建設業法 施行後公表の積算ルールと設備業の実務対応

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 2025年12月12日に改正建設業法が全面施行されました。改正建設業法によって、標準労務費の導入・見積明細化・工期適正化が規定され、一部は努力義務という形ではあっても、実質的には対応を求められるようになっています。

施行から半年が経過した今も、設備業者が取り組むべき新しいルール・指針が段階的に公表されています。施行後に追加された最新情報、積算実務への具体的な影響・対策をまとめます。

目次
1. 改正建設業法の全面施行から半年。何が変わった?
(1)2025年12月施行の3つのルールを整理する
(2)施行後も新しいルール・指針が公表される理由
2. 国交省が「取引事例集」を公表した意味は?(2026年1月)
(1)国交省が整理した6つの違反リスク類型
(2)設備業で最も起こりやすいパターンと対策
3. 新しい見積書フォーマットと法定福利費の計上ルールとは?(2026年1月)
(1)新様式で追加された3つの費目と記載方法
(2)「材工一式」ではなぜ不十分なのか
4. 公共工事設計労務単価の改定で何が変わったか?(2026年3月)
設計労務単価の読み方と誤解による違反リスク
5. 「著しく低い見積」の判断基準と違反を避けるための対策
(1)勧告・公表対象になる見積の2つのパターン
(2)今すぐ始める記録・保存の3つのルール
6. 職種別基準値の拡大スケジュールと設備業者が今から準備すべきこと
(1)施行後も続くWG、設備業への影響は?
(2)今から始めておきたい3つの準備
まとめ 施行後も続く法改正の動き。設備業者が今やるべきこと。

改正建設業法の全面施行から半年。何が変わった?

 改正建設業法では、標準労務費・見積明細化・工期適正化の新ルールが規定されました。施行後も、国交省から新しいルール・指針が相次いで公表されており、これらへの対応が求められます。

(1)2025年12月施行の新ルールを整理する

 施行された新たなルールをあらためて確認しておきましょう。
見積の明細化は努力義務となっていますが、「努力義務だから対応しなくていい」とはならない点が重要です。

標準労務費 義務 著しく低い労務費による見積及び契約締結を禁止
見積明細化 努力義務 見積の明細は材料費・労務費・経費を分けて記載する「一式いくら」という表記をしない
工期の適正化 義務 著しく短い工期を前提とした請負契約の締結を禁止

(2)施行後も新しいルール・指針が公表される理由

 施行から半年が経過した今も、制度整備は続いています。2026年1月には取引事例集と見積書様式例が、2月には設計労務単価の改定が公表されました。中央建設業審議会のワーキンググループ(以下、WG)も継続開催されており、職種別基準値の追加策定が進んでいます。これらの通知はいずれも積算実務に直結する内容です。「施行時の対応で十分」と考えている設備業者は、知らないうちに違反リスクを抱えている可能性があります。

関連記事:【改正建設業法】標準労務費、工期適正化対応を「競争力」に変えるロードマップ

 

<ここまでのポイント>
・新ルール(標準労務費・見積明細化・工期適正化)が施行
・施行時の情報で「対応済み」と考えると対応不備となるリスクあり
・2026年1〜3月公表の新ルールや指針は実務に直結している

国交省が「取引事例集」を公表した意味は?(2026年1月)

 2026年1月5日、国交省は「通常必要と認められる労務費を著しく下回るおそれのある取引事例集」を公表しました。これは建設Gメンによる調査で確認された不適正な取引を6つの類型に整理した文書です。

(1)国交省が整理した6つの違反リスク類型

 取引事例集に示された6つの類型は次の通りです。自社の見積パターンが当てはまっていないことを確認しておきましょう。

類型①:
「単価を見直さない据え置き」
長年の取引を理由に数年前の単価のまま協議なしに見積を作成・提出する
類型②:
「一律一定比率等の減額」
合理的な根拠なく労務費を一律に一定比率で減額した見積を求める
類型③:
「予算額を前提とした指値」
工事予算額から逆算して根拠なく労務費を圧縮した見積を作成する
類型④:
「相見積等を基にした指値」
最安値の見積額を一方的に請負代金として他の業者にも同額への減額を依頼する
類型⑤:
「取引関係維持等を意図した減額」
取引継続や閑散期受注を目的に合理的根拠なく労務費を減額する
類型⑥:
「不当に効率の良い歩掛の設定」
工事条件を無視した高効率の歩掛を計上して労務費を圧縮する

出典:国交省「通常必要と認められる労務費を著しく下回るおそれのある取引事例集」(2026年1月5日)

(2)設備業でも起こりやすいパターンと対策

 もっとも起こりやすいのは、類型①と類型⑥ではないでしょうか。「いつもの単価で」という見積作成や、標準的な歩掛を一律適用する慣習が、今後は違反となる可能性があります。

 この6類型が自社に当てはまらないか確認することが出発点です。不当な単価変更の依頼があった場合の協議手順を社内で決めておく、変更協議の記録(メール・議事録)を残す習慣をつけることなども重要です。取引の記録保存の習慣化が、違反リスクの抑止力となります。

関連記事:公共工事入札の受注確度をアップする積算戦略~建設投資73兆円でも油断できない

<ここまでのポイント>
・自社の状況が、取引事例集の6類型に該当しないか確認しよう
・慣行的な単価使い回しと一律歩掛の適用は、起こりやすい違反パターン
・記録保存の習慣化が違反リスクの抑止力

新しい見積書フォーマットと法定福利費の計上ルールとは?(2026年1月)

 2026年1月、国交省は「労務費に関する基準の運用方針」と工種別の「見積書様式例」を公表しました。新たに独立記載が必要な費目が定められており、従来の「材工一式」の表記は、法令対応として不十分になるケースがあります。

(1)新様式で追加された3つの費目と記載方法

 改正後の内訳書では、材料費・労務費に加えて、法定福利費・安全衛生経費・建退共掛金を独立した費目として立てる必要があります。国交省ホームページで、土木工事・建築工事・小規模工事の工種別に内訳書の様式例、職種ごとに異なる「安全衛生経費率」の参考値が公開されています。まずはこれを確認しましょう。

出典:国交省「労務費に関する基準の運用方針」・「見積書様式例」2026年1月公表 労務費に関する基準ポータルサイト

(2)「材工一式」ではなぜ不十分なのか

 設備工事の見積では「材工一式 いくら」という習慣がありましたが、この形式では法定福利費等の費目が明示されないため、改正建設業法では不十分と判断されます。まず自社の見積書フォーマットを様式例と比較し、不足している費目を洗い出すことが最初の対応です。その上で「材工分離」した見積フォーマットへの切り替えを進めましょう。

 費目を細かく分けた見積書の作成はExcelでは手間がかかります。法令対応した積算見積システムを活用することで、見積明細の作成と記録保存を効率化することができます。

<ここまでのポイント>
・見積書に法定福利費・安全衛生経費・建退共掛金の費目が必要(努力義務)
・自社フォーマットを国交省の様式例と比較して確認しよう
・「材工分離」の見積明細への切り替えが課題

関連記事:【資材高騰対策】見積に価格変動を反映できていますか?利益を守る原価管理の新常識

公共工事設計労務単価の改定で何が変わったか?(2026年3月)

 2026年2月17日、国交省は令和8年3月から適用する「公共工事設計労務単価」を公表しました。令和8年度改定は全国全職種単純平均で前年度比4.5%の引き上げとなり、全国全職種加重平均値が初めて25,000円を超え25,834円となっています。詳細は後述しますが、設計労務単価は支払うべき賃金の全額ではなく、法定福利費等は別途計上が必要な点に要注意です。

設計労務単価の読み方と誤解による違反リスク

 設計労務単価は、賃金相当額のみの金額です。実際の見積では、現場管理費(法定福利費等)を加えた金額で計上する必要があります。電工(東京)の場合、下表のとおり32,600円に13,200円を加えた45,800円が参考値となります。

参考例:電工(東京) 2026年3月適用

設計労務単価(法定福利費等を含む参考値) 45,800円/日
 ┗賃金相当額(設計労務単価) 32,600円/日
 ┗現場管理費(法定福利費等) 13,200円

 この点を誤解したまま見積を作成すると、「著しく低い労務費」として違反対象になるリスクがあります。単価は都道府県別・職種別に設定されています。工事場所ごとに最新単価を確認してください。

出典:国交省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」2026年2月17日公表

 

<ここまでのポイント>
・設計労務単価は全額ではないので、法定福利費等を含む参考値の差に注意
・この誤解のまま見積を作ると違反対象になるリスクがある

「著しく低い見積」の判断基準と違反を避けるための対策

 改正建設業法では、500万円以上の工事(建築一式は1,500万円以上)において著しく低い労務費による見積・契約が禁止されています。違反した場合は勧告・公表の対象となります。

(1)勧告・公表対象になる見積の2つのパターン

 勧告・公表対象となる違反のよくあるパターンを紹介します。一つは、公共工事設計労務単価を下回る水準で労務単価を設定して見積を作成するケースです。もう一つは、実際の施工条件では実現困難な高効率の歩掛を設定し、労務費を圧縮するケースです。いずれも、これまで慣行的に行ってきた会社もあるのではないでしょうか。
適切な積算の手順を踏まずに、「数年前から単価を変えていない」「この工種はいつもこの歩掛で計算している」といった慣習を続けることが違反パターンに当てはまる可能性があります。自社の見積の根拠を改めて確認してみてください。

(2)今すぐ始める記録・保存の3つのルール

 まず、見積書に労務費の根拠(単価・歩掛)を明記できる状態にしておくことが基本です。原価割れが生じる可能性がある案件については、その理由を社内記録として残しておく運用が必要です。また、見積書や変更協議の記録(メール等)は10年間保存できる体制を今から整えておくことを強くお勧めします。

出典:国交省「労務費に関する基準の運用方針」・改正建設業法施行令

<ここまでのポイント>
・500万円以上(建築一式1,500万円以上)が勧告・公表の対象
・違反の典型:慣行単価の使い回し、実態と異なる歩掛による労務費圧縮
・見積根拠の記録+10年保存が最低限の自衛策

関連記事:完工後赤字の原因と対策リアルタイム工事原価管理で利益を守る

職種別基準値の拡大スケジュールと設備業者が今から準備すべきこと

 中央建設業審議会WGは継続開催されており、建設業全体の職種別基準値を段階的に策定しています。設備工事関連職種についても対象となる予定であり、今後の動向を注視する必要があります。

(1)施行後も続くWG。設備業への影響は?

 中央建設業審議会WGが策定するルールや指針によって、制度の具体化が進んでいます。設備業でも職種別基準値が公表された段階で、見積書の根拠として照合が求められるようになります。

 基準値がまだ定められていない現段階でも、「著しく低い労務費」による見積・契約は禁止されており、公共工事設計労務単価を下回る労務単価の設定や不当な歩掛の圧縮は違反対象となります。基準値が定まった段階ですぐに対応できるよう、今から準備を進めておくことが重要です。

(2)今から始めておきたい3つの準備

 改正建設業法への対応は、まだまだ続きます。これから取り組むべきことを整理しておきましょう。

①施工実績・歩掛データを蓄積しておく
将来、職種別基準値への適合を判断する際の根拠となります。

②国交省WGの動向を定期的に確認する
職種別基準値の公表や新たな運用方針は随時追加されます。国交省の労務費に関する基準ポータルサイト(https://roumuhi.mlit.go.jp/)を定期的に確認し、変更があれば速やかに社内へ周知する体制を整えましょう。

③自社の標準歩掛を整備し、見積根拠を社内外に説明できる状態にしておく
建設Gメンによる調査や取引先からの確認があった際に、「なぜこの労務費か」を説明できるかどうかが重要です。自社の施工実績に基づいた標準歩掛を整備し、根拠を示せる状態にしておくことが、違反リスクへの最大の備えになります。

出典:中央建設業審議会 労務費の基準に関するWG 第12回議事録 2026年3月26日

<ここまでのポイント>
・WGは継続中。改正建設業法の整備は今も動いている
・今から歩掛データを蓄積することが、将来の基準対応の備えになる

まとめ 施行後も続く法改正の動き。設備業者が今やるべきこと。

 改正建設業法は、昨年12月の「全面施行」で終わった訳ではありません。
施行後も、取引事例集・見積書様式例・設計労務単価の改定と、対応しなければならない新ルールや指針が増えています。「すべて対応済み」と油断するのは危険です。

 見積書フォーマットの整備・労務単価の更新・記録の保存など、継続的な対応が求められます。こうじやさんシリーズ本丸EXv3の法改正対応機能(見積明細化・労務費根拠の記録・歩掛データ管理)を活用することで、対応の効率化と記録の自動化が実現します。

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