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  4. 【IT導入補助金2025】2次までの採択率49%!突破をめざす申請のコツ

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 中小企業のDX・デジタル化を後押しする IT導入補助金2025。補助枠の拡大など内容が拡充する一方、申請数の増加により、昨年と比較すると大幅に採択率が下がっています。申請書作成から、効果測定指標の設定方法、避けるべきケアレスミス、申請から導入までの具体的なロードマップまで、採択率を向上させる申請のポイントを解説します。

目次
-IT導入補助金2025年度の変更点と採択率
 2025年度のIT導入補助金制度の改正内容
 2024と2025で採択率はどうなっている?
-IT導入補助金2025採択をかちとる申請書作成のポイント
 IT導入補助金の審査で重視されるポイント
 IT導入補助金の事業計画書の書き方のコツ
 IT導入補助金の効果測定指標の設定で注意すべき点
-IT導入補助金申請でやってはいけないケアレスミス
 ケアレスミスで採択されない可能性もある
 差し戻しで修正できても採択の優先順位はさがる
-申請から導入・補助金受給までのロードマップ
-自社にあったツール選定とパートナー選びが重要

IT導入補助金2025年度の変更点と採択率

2025年度のIT導入補助金制度の改正内容

IT導入補助金2025では、3つの改正が行われています。

・通常枠の補助率が拡大
最低賃金に近い賃金で雇用している事業者に対する補助率が1/2から2/3へと拡大されました。地域別最低賃金+50円以内の賃金で、3か月以上雇用している従業員数が全従業員数の30%以上を占めている事業者が対象となります。

・セキュリティ対策推進枠の充実
サイバーセキュリティ対策の重要性が高まりを受けて、セキュリティ対策推進枠の補助額上限が100万円から150万円へと引き上げられました。あわせて、小規模事業者の補助率は1/2から2/3へと拡大されました。

・補助対象の拡大
導入後の「活用支援」が補助対象に追加されました。ITツール導入後の運用・活用段階においても継続的な支援が受けられるようになります。

22024と2025で採択率はどうなっている?

 IT導入補助金2025は、申請数が大幅に増加しています。下表は2024年の同時期の全枠の比較ですが、通常枠だけをみても、2024年が1,576件だったのに対して、2,979件と倍近い数字になっています。

 気になる採択率はどうなっているでしょうか。2024年の通常枠1次~2次での採択率が84.04%だったのに対し、2025年の採択率は50%を割っています。これは申請数の増加が影響していると考えられます。

<IT導入補助金2024との比較>

年度 締切 申請数 採択数 採択率
2024年 1次~2次 7,111 5,976 84.04%
2025年 1次~2次 20,724 10,359 49.99%

<IT導入補助金2025 採択率>

申請枠 締切 申請数 採択数 採択率 枠別採択率
通常枠 1次 2,979 1,511 50.72% 45.54%
2次 3,516 1,447 41.15%
セキュリティ対策推進枠 1次 7 7 100.00% 56.14%
2次 164 89 54.27%
インボイス対応類型 1次 6,446 3,710 57.56% 51.95%
2次 7,609 3,592 47.21%
複数社連携IT導入枠 1次 3 3 100.00% 100.00%
合 計 20,724 10,359 49.99%
 

 さらに、IT導入補助金の申請件数は下期に向けて伸びていく傾向があります。つまり、今後ますます審査が厳しくなることが予想されます。採択率を向上させるための綿密な申請準備が必要になるでしょう。

<ここまでのポイント>
・2025年度は通常枠の補助率拡大、セキュリティ対策推進枠の充実、補助対象拡大
・申請数が倍増した影響で採択率は49.99%と2024年の84.04%から大幅に低下
・下期に向けてさらに申請数増加が予想されるため、綿密な申請準備が必要

IT導入補助金2025採択をかちとるための申請書作成

IT導入補助金の審査で重視されるポイント

 IT導入補助金の審査では、事業計画の合理性と実現可能性が重要な評価基準となります。申請書では、現在の業務課題を具体的かつ客観的に分析し、導入するITツールがその課題をどのように解決するのかを明確に示されていなければなりません。

 投資効果の明確性も重要な要素です。ITツール導入によって期待される効果を、具体的な数値を用いて示すことが求められます。設備業であれば、工事管理の効率化や請求業務の自動化といった効果を具体的な数値で示すことが重要です。また、導入後の継続的な活用計画の提示も評価対象となります。導入後の運用体制、従業員への教育計画、定着化のための取り組みなど、導入したITツールが確実に活用されると納得できる計画が求められます。

IT導入補助金の事業計画書の書き方のコツ

効果的な事業計画書を作成するための5つのポイントを紹介します。

①現状分析を徹底する
現状を徹底的に分析し、自社の課題を具体的に記載します。設備業であれば、積算見積や原価管理の複雑さ、現場と事務所の情報共有の困難さ、報告書や請求書作成の煩雑さなどが挙がる傾向があります。これらの課題を数値化し、該当業務にどのくらいの時間やコストがかかっているかを明確にします。

②課題解決のストーリーを明確に描く
先述の課題を解決するITツールを選定します。どのような機能で課題を解決するのか、導入前後のワークフローを図解で示すのがお奨めです、設備業の実務に精通していない審査員にもわかりやすく伝わるよう配慮しましょう。

③定量的な効果測定を設定する
効果測定は具体的な数値目標を設定し、その根拠を明確に示します。
例)作業時間を30%短縮、請求処理を週10時間削減など

④具体性のある実行計画
実行計画は、ITツール活用の実現可能性を示すものです。導入スケジュール、担当者の役割分担、従業員への研修計画などを、できる限り具体的かつ詳細に記載します。

⑤加点項目に対応する
必須ではありませんが、対応しておくと審査時に加点される項目があります。一部を抜粋します。

加点項目 通常枠 インボイス対応類型 電子取引類型 セキュリティ推進枠
地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画
地域未来牽引企業
クラウドを利用したITツール導入の検討
インボイス対応ITツール導入の検討
賃上げへの事業計画策定、従業員への表明、事業計画の達成
SECURITY ACTIONの「★★ 二つ星」の宣言
国の推進するセキュリティサービスを選定しているか
「デジwith」における「IT戦略ナビwith」
健康経営優良法人2025
くるみん・えるぼし認定
成長加速マッチングサービス

出典:it2025_addition_list.pdf

IT導入補助金の効果測定指標の設定で注意すべき点

 IT導入補助金の審査において、効果測定指標は非常に重要な要素です。効果測定指標を設定する際の注意すべき点を解説します。

①測定可能な指標を選定する
業務効率化などの抽象的な表現ではなく、具体的に測定できる定量的な指標を選択しましょう。
例)見積書作成時間の短縮、請求処理件数の向上 など

②ベースラインの明確化
改善効果を測定するベースラインとして、現在の作業時間やコストを正確に把握し、導入後の時間やコスト比較できるようにします。

③時系列での測定計画
効果測定のスケジュールを、導入直後、3ヶ月、6ヶ月、1年といった段階的に設定し、継続的な効果測定できる体制を構築します。

④リスクを考慮する
計画がうまくいかない場合を想定することで、信頼性が高まります。導入リスクの想定と対策、期待通りの効果が現れなかった場合の対応策なども記載します。

<ここまでのポイント>
・審査では事業計画の合理性、実現可能性、投資効果の明確性、継続的活用計画を重視
・事業計画書には現状分析の徹底、課題解決ストーリーの明確化、定量的効果測定、具体的実行計画が必要
・測定可能な効果測定指標と時系列の測定計画、リスクの考慮が重要

IT導入補助金申請でやってはいけないケアレスミス

ケアレスミスで採択されない可能性もある

 不採択の原因として、意外に多いのが書類不備です。ほとんどがケアレスミスです。特に注意すべき書類不備の事例を紹介します。

①必要書類の未提出
法人の場合の履歴事項全部証明書、個人事業主の場合の所得税確定申告書、従業員数を証明する書類など、必要書類の不足がもっとも多いそうです。用意するだけでよいのですから、漏れがないよう、申請前に必ずチェックリストで確認しましょう。

②記載内容の不一致、誤字・脱字や記載漏れ
細かな書類を作成しているとケアレスミスは起こりやすいものですが、申請書に記載した企業情報と提出書類の内容が異なるだけで、書類不備として扱われます。会社名、住所、代表者名などの基本情報は、すべての書類で統一されている必要があります。

③ITツールの選定ミス
申請する枠に対応していないITツールを選択すると、申請が受理されない可能性があります。

差し戻しで修正できても採択の優先順位はさがる

 IT導入補助金の申請では、書類不備による差し戻しが発生した場合、修正して再提出できます。
しかし、2025年のように申請数が増加し、採択率が厳しい年では差し戻しによって審査プロセスが遅れ、チャンスを逃してしまう可能性もあります。

 事前チェックを徹底してケアレスミスをなくし、初回申請での完璧性を目指すことが重要です。社内でも担当者ひとりに任せるのではなく、分担して二重三重にチャックするなどの工夫をしましょう。また、IT導入支援事業者はもっとも頼るべきパートナーです。IT導入支援事業者との連携を密にし、申請書の内容を双方で確認することで、不備の発生を防ぎます。

 万が一、差し戻しが発生した場合に備えて迅速な対応体制を整えることも重要です。速やかに修正して再提出できるよう、準備しておきましょう。

<ここまでのポイント>
・書類不備による不採択は意外に多い
・採択率が厳しい年では審査遅延によりチャンスを逃すリスクがある
・社内での二重三重チェックとIT導入支援事業者との密な連携が重要

申請から導入・補助金受給までのロードマップ

 IT導入補助金2025の申請から受給までの全体的な流れを説明します。IT導入支援事業者やITツールの選定と設備業界の業務を理解し、適切なITツールを提案できる支援事業者を選択することで、採択される確率が高まります。登録されているツールの中から、自社の課題解決に最適なものを選定します。 必ず、申請枠に対応したツールを選択しましょう。

①申請準備 目安:1~2か月

 申請書作成に先立って用意するのは以下の通りです。特にGビズIDプライムの取得には最大2週間かかる場合もありますので、IT導入支援事業者やITツールの選定と並行して進めておくとよいでしょう。


・履歴事項全部証明書(個人事業主の場合は所得税確定申告書)
・直近の決算書類
・GビズIDプライムの取得
・SECURITY ACTIONの宣言
・IT導入支援事業者の選定
・ITツールの選定

②申請書作成 目安:2~3週間

IT導入支援事業者と密に連携して進めましょう。
・事業計画書の作成
・必要書類の準備
・加点項目への対応(デジwithなど)
・申請書の最終確認

③審査 目安:約2か月

 提出した申請書類を事務局が審査します。この期間中に追加資料の提出要求などがありますので、関連資料を整理して待機します。

④導入準備(交付決定後)

 ITツールを発注し、導入計画を確定させます。従業員への説明も大切です。交付決定前の契約や支払いを行ってしまうと補助対象外となります。発注のタイミングには注意しましょう。

⑤ITツール導入~運用開始

 実行計画に基づき、システム構築やル、データ移行計画、従業員研修計画などを具体的に決定します。従業員が新しいITツールを使いこなせないと期待通りの導入効果は発揮できないので、操作方法、業務フローの変更点などを対する研修が重要です。導入から運用開始まで、IT導入支援事業者のサポートが重要となります。システム移行時にはトラブルも起きやすいので、無理なく対応できる体制を整えます。

⑥補助金申請~受給

 ツール導入後、ITツール導入の実績、支払い実績、効果測定結果などをまとめた実績報告書を作成します。申請後、実際の支払い額に基づいて補助金額が確定されます。見積額と実際の支払額に差異がある場合は、低い方の額が基準となります。事務局の審査を経て、指定した銀行口座に補助金が振り込まれます。受給後も、事業効果報告として導入後の効果測定結果を定期的に報告する必要があります。

<ここまでのポイント>
・各段階での適切な準備とスケジュール管理が必要
・交付決定前の契約・支払いは補助対象外となるため、発注タイミングは要注意
・導入後も事業効果報告として定期的な効果測定結果の報告義務がある

自社にあったツール選定とパートナー選びが重要

 申請数が増加しているIT導入補助金2025で採択をかちとるには、制度の理解と入念な申請準備が必要です。

 申請枠の内容を充分に理解し、自社にとって最適な申請枠とITツール選択することが重要です。特に、最低賃金近傍事業者の補助率拡大やセキュリティ対策推進枠の充実は大きなメリットになるでしょう。合理的かつ具体的な事業計画書の作成、定量的な効果測定指標の設定、継続的な活用計画の提示などが採択の可能性を高めます。書類不備を避けるため、申請前の二重三重の確認によってケアレスミスを防ぐことも大切です。

 そして、IT導入補助金申請のパートナーとして、実績豊富なIT導入支援事業者を選ぶことも重要です。設備業の業務を理解し、適切なITツールを提案できる支援事業者を選択することが、申請を成功させる要素の一つと言えます。

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