積算見積のしくみを見直すことで
資材価格の高騰に対応できる可能性があります。
価格高騰の原因と価格変動の構造を理解しよう
個人では調査レポートのように緻密な分析は難しいですが、価格変動の構造を理解すると、今後の動向をイメージしやすくなります。「風が吹けば桶屋が儲かる」のしくみを理解しておけば、より早く価格変動の兆候に気づける可能性があるということです。皆様もご存じのことばかりでしょうが、あらためて整理しておきます。
(1)多方面に影響する原油高
一般的には原油高というとガソリンの値上がりが注目されますが、設備業の資材には石油由来の製品が多いため、ウッドショックよりも影響が大きくなります。また、ガソリン値上がりによる物流コスト増も、いずれは資材価格に反映されてきます。ご存じの通り、日本では原油の流通に政府が関与していますので、原油価格の変動が市場に反映されるまでにタイムラグがあります。世界の経済情勢の好不況や政治情勢に応じて行われる石油輸出国機構(OPEC)加盟国の生産調整や原油の先物情報の動きは、少し先の資材価格に影響してきます。
(2)国際情勢の影響
新型コロナの感染拡大による各方面での生産縮小の影響で原油価格は下落傾向にありましたが、ウクライナ危機でエネルギー需給のバランスは大きく崩れました。日本政府もロシアに代わる供給先探しに奔走する日々が続いています。これを機に代替エネルギーへの関心も高まっていますが、再生可能エネルギーへの移行には相当の時間がかかるでしょう。現在の資材価格高騰はこうした国際情勢の影響が何重にも折り重なった結果です。海外の出来事や経済にもアンテナをたてておくと市場の動きはイメージしやすくなります。
<ここまでのポイント>
・資材価格高騰の背景には「風が吹けば桶屋が儲かる」的な事情がある
・市場予測のキーワードは、原油価格と国際情勢